ちょっとイイ暮らし研究室

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眠れない夜に効く、研究職のための“脳を冷やす”セルフケア習慣

朝から疲れている──そんな実感があるなら、夜時間の使い方を少し変えてみませんか?論文のこと、学生対応、申請書……やることは尽きなくても、“思考を静める工夫”で眠りは変わります。今回は、40代研究職のAさんが実践している「脳をオフにする夜のルーティン」をご紹介。小さな整え習慣が、集中力を支え、研究人生を持続可能にする力になってくれるかもしれません。

「朝から疲れている」をどう整える?研究者の夜型生活と睡眠負債

「朝、起きた瞬間から疲れてるんだよね」
Aさんがそうこぼしたのは、学会の懇親会が終わった後の帰り道でした。
駅までの暗い道を歩きながら、彼はため息まじりに、自分の睡眠リズムが崩れてきたことを話してくれました。
かつては夜型でもなんとかなった。論文執筆の追い込みも、実験の深夜作業も、若さと情熱で乗り切れていた──。でも、40代も後半に入り、研究以外の仕事、特に学生指導や会議、申請業務に追われるようになった今、以前のようにはいかない。
「最近は、夜にスマホで英文の論文を読んだり、Pythonのコードをいじったりしてるんだけど、それで頭が冴えてしまって、逆に眠れなくなるんですよ」
Aさんはそう言いながら、自嘲気味に笑っていました。研究が好きで、まだ負けたくなくて、でもストレスも慢性疲労も積み重なっている──。そんな彼の夜型生活の中には、知らず知らずのうちに“睡眠負債”が蓄積していたのです。

寝る前の思考ループを止める。研究者の“夜のリセット習慣”

「寝なきゃ」と思えば思うほど眠れない──。Aさんは、そんな悪循環に陥っていたと言います。
研究の進展を気にして深夜まで情報収集を続けてしまったり、学会準備が気になってPCを閉じられなかったり。その結果、脳がずっと興奮したままで、布団に入っても頭の中で思考がループし続けていたのだそうです。
「論理的な思考が止まらないって、研究者にとっては長所でもあるけど、夜はそれが完全にデメリットになりますね」
この言葉に、私は深くうなずいてしまいました。まさに、交感神経が優位なままで副交感神経に切り替わらない状態。それがAさんにとって、最大の壁だったのです。
ある日、Aさんはふと「眠る前に、脳を“オフにする儀式”を作ってみよう」と思い立ちます。論文やスライドの作成を終えたら、明るい照明を落とし、暖色の間接照明とアロマディフューザーだけの静かな空間に切り替える。そして、スマホではなく紙のノートに「今日やったこと」を1行だけ書く──。
「書き出すことで、頭の中から情報が抜けていく感じがするんです。やることを閉じて、“もう考えなくていい”と脳に知らせるみたいな」
この“夜の切り替えルーティン”によって、Aさんは睡眠の質が改善していくのを実感しました。睡眠リズムが整ってくると、集中力の戻りも早くなり、業務効率改善にもつながったそうです。

メラトニンと冷却アイテムで“眠れる脳”をつくる方法

そんなAさんが、意外なほど効果を感じたと言っていたのが、「アイピロー」でした。
アイピローって、正直“気休め”だと思ってたんです。でも、実際に冷感タイプを試してみたら、目の奥の重だるさがスッと取れて、思った以上にリラックスできたんです」
それは、ラベンダーの香りがついたジェルタイプのもので、冷蔵庫で冷やしておき、寝る前に数分間目の上に乗せるだけ。
「一番驚いたのは、アイピローをしてる間って、自然と目を閉じるから、スマホも触らなくなるんですよ」
目元を冷やすことで、深部体温が自然に下がり、メラトニンの分泌を妨げずに済む。それが、Aさんにとって“脳の興奮”を鎮めるシグナルになったのです。
研究者としてのセルフケア──それは決して大げさなことではなく、こうした小さな習慣の積み重ねだったのです。
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豆知識:研究者のための夜時間リセット術はこちら



脳が冴えて眠れない夜に──冷やすだけで、思考が静まる

眠る前、そっと灯すだけ──脳をクールダウンさせる静かな光のルームライト

光を落としたら、香りをひと吹き──脳のスイッチを静かに切り替えるアロマディフューザー


睡眠も研究の一部──研究者が実践する夜時間の整え方

「最近は、“眠ること”を一種の戦略として捉えるようになりました」
そうAさんは話していました。以前は「寝てる場合じゃない」と思っていた。でも、今は違う。
眠らないことで次の日の集中力が落ちれば、結局は論文執筆も進まない。慢性疲労が積み重なれば、学生指導も雑になる。そんなふうに、疲労は確実に“研究の質”をむしばむのだと、経験から学んだと言います。
「研究職って、体力勝負の時期を過ぎたら、健康管理とタイムマネジメントの比率が高まってくると思うんです」
今では、週に数回は意識して早めに作業を切り上げ、クールダウンの時間を確保するようにしているそうです。睡眠の段階を意識し、深い眠りのための準備を丁寧にすること。それが、結果的に日中の集中力と発想力につながる──そんな実感が、彼の言葉の端々から伝わってきました。
その話を聞きながら、私もつい、帰宅後の自分の行動を振り返ってしまいました。Aさんのように、自分の“研究人生の持続可能性”を見つめ直す時間を持つこと。それ自体が、きっとセルフケアの第一歩なのだと感じました。
→ 研究を続けるには、“休む技術”も必要です。
睡眠リズムの改善に加えて、心と体のゆとりをどう整えるか──Aさんの体験をもとにした【研究者のセルフケア術】もあわせてご覧ください。 better-life.hatenadiary.jp better-life.hatenadiary.jp

豆知識:研究者のための夜時間リセット術

照明は「暖色系+間接」が正解

明るすぎる白色照明は交感神経を刺激します。夜はスタンドライトなどを使い、目線より下に光源がある環境を作ると、自然と副交感神経が優位になります。

ノートは「タスク管理」より「思考の排出」に

寝る前に予定を書くのではなく、「今日やったこと」を書き出す方が効果的です。完了タスクの可視化が脳の満足感につながり、安心して眠りに入れます。

冷却アイテムは目元がベスト

頭部ではなく、目元の血管を冷やすことで副交感神経が優位になりやすくなります。アイピローはお手軽で持続時間も短く、取り入れやすいアイテムです。

スマホを手放す“物理的制限”を設ける

寝室にスマホを持ち込まない、あるいは「スマホ操作ができない状況」を作ると、思考のクールダウンが加速します。アイピローやマッサージ機などが効果的です。

週に1回は“意識して切り上げる日”を

週1でも早めにPCを閉じてリセットする日を決めると、全体の睡眠リズムが整いやすくなります。習慣化が難しい人ほど、予定に「オフ日」を入れてしまうのがおすすめです。